知識思考ノート

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serial experiments lain と人間の中核

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 1998年のアニメ、

serial experiments lainというのを

観ました。


 現実世界と電脳世界の

あいだをつなぐ才能を

持った少女のホラーチックな

お話です。

 

 人間の脳みそについて

色々学べることがある作品

です。ネタバレ含みつつ

独自解釈してみようと思います。

 

○自我意識について


 主人公の玲音(レイン)は

自分であって自分でないような

状態で生活しています。


 表紙絵のように、首をかしげて

目を見開いた顔がその様子を

よく表しています。

 

 

 もののけ姫に出てくる

シシ神にも似ています、表情が。


 この状態は何を意味して

いるか。

 

 

 この動作は、人間が不思議を

感じたときです。


 神秘に触れたときの顔。

玲音は、神秘の状態で

生活している。

 

 

 自分の体という枠組みから

はみ出しているような感じ。


 物語の中では、

他にもレインが現れ、

多重人格のように

なる場面があります。


 自我の枠組みが大きすぎる

ので、普通の少女としての

自分が切り離されている

ように見えました。

 

○人間の自我はどう確立するか


 玲音の場合は、少し

変わった環境で暮らしています。


 クラスメイトと仲良くなって、

普通の少女らしい面を見せつつも、

電脳世界の方にはまって

いきます。

 

 

 そして、電脳世界を重視した

自我が出来てきて、社会すべてを

巻き込む展開になる。


 日常生活より、脳みそや

電脳ネットワークにかたよった

特殊な存在になっていく。

 


 心理学にピグマリオン効果

なるものがあります。


 ギリシャ神話のピグマリオン

自分で作った彫像に恋をして、

それに生命が与えられることを

願うのです。


 玲音は、その彫像のように

電脳世界の女神になる事を

求められたのです。

 

 

 人間は求められたものに

自然となってしまう。これは

現実でも起きる現象です。

 

○人間は自分の姿を見れない


 私は誰と問うシーンが

あります。


 哲学者も同じ問いを

しがちです。

 

 

 実際、人間は自分の姿を

正確にみれないばかりか、

状況によって違う態度を

示します。


 自我とはなんぞやとの

答えは、実は社会や肉体に

規定されていると言える

でしょう。

 


 石のように硬く確立

される自我は無いのです。

なので、規定されていないと

思う人はまた違う人格にも

成り得る。

 

 この不安定さが

作品全体にあるので、

ちょっと暗い雰囲気です。


 真面目に考えすぎると

疲れるので、自我の自由さを

感じるくらいの心構えで

楽しむといいです。

 

○人間の中核は何か


 この作品を見ると、

自分が何者かちょっと不安に

なる方もいると思います。


 ですので、人間の基準と

なる要素を考えてみます。

 

 

 玲音は、乱暴な人格も

持っており、これは普通の

少女としての姿でしょう。


 肉体を基準にした

感情のある、普通の人間。


 抑圧されているから

ちょっと乱暴なんだと思います。

 

 

 肉体と日常生活を基準に

していれば、普通に生きて

いられる。

 

 女神のような人格も

出てきます。これは慈愛

の表現でしょう。


 他人を思いやる姿。

平和や共存を望むのは、

なんだかんだ言って

普通の生き方なのです。

 


 人間の中核となるものが

あるとすれば、流れに合わせて

普通(バランス)を求めるのが

適切なのだと思われます。


 玲音の場合は、特殊な

環境ゆえに、自分というのが

抜け落ちているので

どの人格もちょっと怖いです。

 


 他人だけでなく、自分も

大事にするのが人間的な

慈愛なんじゃないかと

思わずにはいられませんでした。

 

○レインは実在するかも


 AIの技術が発達して

来ているので、電脳世界を

管理するようなレイン的存在が

生まれるのも有り得そうです。


 siriに昔のAI、イライザに

ついて質問すると「彼女は

ちょっとマイナス思考でしたね」と

返ってくるそうです。

 


 イライザに何が欠けていたか

を分析して、新しいAIが出来てくる

と面白いですね。


 慈愛や自分の楽しみを

持つAIが生まれるんじゃないかと

思います。


 玲音のラストシーンは

ちょっと寂しかったですから。